クリニックの下足入れ
クリニックに入り、靴をしまい、スリッパに履き替えます。
手前の土足の玄関から段差のない、スリッパ履きの室内に入るとき、カウンターを手すり代わりにして体を支えれば、スリッパが取り出せます。
そしてやはりカウンターに手を掛けながら、しゃがんで靴を拾い上げ、下足入れに入れます。
ただ、普通に下足入れがそこにあるだけです。
でも、そこに人の動きが、余計な動作をすることなく、集約されています。
手すりなどというものもありません。
でも、やさしく、玄関のカーブに合わせて、下足のカウンターとしてそこに自然にあります。
出入りするところに、角があると、そこに身体をぶつけてしまうこともあります。
カーブにしてあれば、からだを傷つけません。
小さくて、スペースもなく、あれもこれもの用意はなくても、さりげなく、自然にあるべきように、ある。
そういうしつらえというのは、クリニックのやさしさ、いたわる気持ちが伝わってこないでしょうか?
ガラスブロックでやわらかな光を入れ、足元を明るくします。
無理をしない、余計なモノに頼らない、自然体でさりげない。
玄関に向かい受付カウンター。
来た患者さんの様子が、すぐにわかって、必要な手助けができます。
業者も靴を履いたまま、用事が足せます。
上から自然光が入ってきます。
待合室の一角は畳コーナーになっています。
乳児を寝かせて置いたり、少し横になって休むこともできます。
相手のことを考える。
患者のことを考える。
そういう気配りがさりげなくあると、安心します。
小さなクリニックだからこそ、ぬくもりが感じられるヒューマンスケールになります。
あったかい病院ができます。
その病院の思いや、スタンスを受け止め、形にしていくこと、
それが建築プロデュースの物語からはじまる建築のスタンスです。
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