キーステーション
建築を考える上で、人の動きを考えることは、最も大切な視点の一つです。
特に店舗の場合は、動線の設定を間違うと、商売として致命的な問題が生じます。
背後にある厨房から出された料理を、ここからお客様に運びます。
飲み物もここで用意します。
つまり、ここがお客様と厨房をつなぐ、キーステーションとなり、お客様に常に目を向け、お客様の反応をキャッチしています。
これが「サービス」の一番大事なところではないでしょうか?
どんな旨い料理が出る店でも、お客様と店の関係が疎遠では、良いサービスが提供できません。
以前の店では、その配慮が足りない動線になっていました。
そこで客席と厨房をつなぐために、壁を抜いて、ここにカウンターを設置しました。一歩お客様に近づいたわけです。
住宅においても、キッチンが家全体のキーステーションになり、家事をしながら、家族の様子を把握し、適切に様々な処理を行います。
家族やお客様を「おもてなし」すると同時に、サービスする側も、孤立せずに、対話し、場を共有できて、「おもてなし」される場にもなります。
ここにあるようなアイランドキッチンは、とてもカッコいいのですが、オープン過ぎて、仕事場の雑多な状態を隠すことができません。
対面式で、コミュニケーションをとれる目線は合わせられ、手元の雑多な作業現場は隠せるのが使い勝手良いように思われるのですが、いかがでしょう?
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