思考、感情、直感、感覚
ユングのタイプ論では四つの心理機能の中で、主として使用する機能に分けて、人を思考・感情・直感・感覚の四つのタイプに分けて論じています。
そして、主に使う機能がある反面、ほぼ使わない機能があり、その機能が優勢であるか、劣性であるかによって、人の感じ方や、理解の仕方が違うと考えました。
心の中の優性、劣性は得意とする機能、不得意とする機能です。しかし、面白いのは、人はその四つの機能を満遍なく発達させたいと、心が要求している側面があるということです。
つまり、初めは得意な機能を用いて成長していくのですが、その陰で、劣性で抑圧された機能があれば、それはいずれ、その機能を発展させるような出来事が起こり、その機能を使わざるを得なくなり、劣勢だった機能が発展し、次第にバランスの取れた状態へと、自己実現していくということです。
人との関係が変化するのは、それらの個人的な心の発展の段階に沿った、出合いや関係があるのです。
例えば、人は恋愛し、結婚します。
その場合は、自分とまったく違う性質、違うタイプの人にあこがれるのです。
自分の劣性部分が人を引き付ける要因になっているのです。
友達も同じです。
自分と違う人間だから友達になるのです。
しかし、人は十全に至ろうとします。
未熟な部分を発展させることを、人生のどこかのタイミングで臨み始めるのです。
ですから、初めは劣勢な部分で引き寄せあっていた人間関係で、他者に依存し、互いに補い合ってきたのですが、自分の劣性部部を発展させるためには、それが邪魔になってしまうのです。いつまでも補われていては、自らが発展しないからです。
そうして人は人間関係を壊して、関係を閉ざして、別の環境を求めるのです。
もしも、その関係を続けたいと願うなら、距離を置く、依存関係を解消するなど、付き合い方をかえていくほかありません。
その距離感の中で、家庭内では子が独立し、夫婦は別居し、あるいは家庭内別居し、心理的、物理的距離を開く作業を必要とします。
親子は独立することが前提になっているところがあります。
しかし、夫婦は、独立することが仲たがいに感じたり、そのように見られたりしてしまうことがあります。
真に人間的に独立している夫婦であれば、その環境を自ら、意識的、意図的につくることができます。
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